電子化エキスパート<ペーパーロジック社>
2019年ペーパーレス化総括&2020予想を発表
2020電子化市場は
不動産・保険・通信業界等の契約手続き簡素化で大きく浸透
〜企業の印紙費用を電子化でいかに削減するかが問われた2019年~
企業文書を電子化・ペーパーレス化するクラウドサービス paperlogic® を展開するペーパーロジック株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:横山 公一)は、ペーパーレス化に関する2019年の総括及び2020年の展望に関するレポートを発表いたしました。
■2019年ペーパーレス化総括&2020予想
1.2019年総括
〜「収入印紙費用の削減」が電子契約導入のキーに〜
2019年は「ペーパーレス社会」実現に向けて、象徴的なニュースが三つありました。
一つ目が今年4月の労働基準法施行規則の改正により「労働条件通知書」の電子化が可能になったこと。これにより雇用契約関連書類の完全ペーパーレス化が可能となりました。
二つ目が2019年5月24日、デジタルファースト法が参院本会議で可決・成立し、従来の紙やはんこによる行政手続きの電子化・ペーパーレス化が推進される形となりました。また、前後してビジネス文書の「電子化・ペーパーレス化」の法規制緩和も進んでいます。
三つ目が、不動産取引契約において書面による交付を義務付けられている重要事項説明書(重説)について、国交省主導の「賃貸契約における重要事項説明書等の電磁的方法による交付の社会実験」が10月から開始されたこと。
ペーパーレス社会を実現するためには、文書ライフサイクルの全過程を電子化する必要があります。サイクルは大きく三つに分かれ、文書の(1)作成・承認、(2)発行・調印、(3)保存・活用、となります。前述した三つのニュースのうちの二つは文書ライフサイクルでいう(2)発行・調印の電子化であり、この領域は「電子契約」と呼ばれています。2019年は電子契約の本格的な普及の幕開けとなりました。
電子契約は業態によって導入目的が異なりますが、2019年は契約の電子化に伴う「収入印紙税の削減」が大きなテーマとなりました。
収入印紙は「文書」にのみ必要であるため、電子契約の場合、印紙費用は不要となります。これは電子化に伴う直接的なコスト削減であり、大きなインセンティブとなって電子契約の本格的な導入が進んでいきました。
財務省が発表している「2019年度の租税及び印紙収入予算の説明」によると、日本における収入印紙税は約1兆円にのぼります。(参照:財務省主税局「平成31年度 租税及び印紙収入予算の説明」:https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/budget_explanation/008a31a.pdf)
印紙費用は一般的に高額取引になるほど上がります。そのため、特に取引金額が大きい不動産業・建設業・金融業(融資)などで、印紙コスト削減を狙い電子契約の導入や検討が進みました。代表的な企業として、北國銀行(住宅ローン契約の電子化)やアルヒ株式会社(住宅ローン契約の電子化)(各社報道資料より)、過去には大手ゼネコン各社などがあります。
2.2020年の展望
〜「契約手続きの簡素化」による電子契約の導入が進む〜
一方で、当社が実施したアンケート調査(参照:「ペーパーロジック、電子契約に関するアンケート調査を実施」:https://paperlogic.co.jp/news_20190903/)によれば、東京所在の企業においても電子契約システムを導入していない企業が71.2%と、まだまだ浸透していない実態が明らかになりました。
電子契約は、上述した収入印紙費用の削減以外にも、契約フローの簡素化による業務負担の削減をもたらします。
10月から実証実験が開始された不動産賃貸における重要事項説明書の電子化は、ペーパーレス化により、簡単な手続きで賃貸契約を実現させるものとなっています。アメリカでは既に賃貸契約等が電子化されており、日本でも部屋を借りる時などに紙の契約書が不要となる日が近いかもしれません。
不動産以外においても、保険業界・通信業界などは、顧客に対して重要事項説明を行う義務があります。同様にこれらの業界でも契約手続きの簡素化を目指す動きが加速していくのではないでしょうか。
さらに、本年4月に規制緩和された「雇用条件通知書の電子化」で、採用時の事務手続きの簡素化が可能になりました。アルバイトが多くを占める飲食業界や小売業界は、人材の流動性が激しく、採用毎に書面で交付する作業が業務上負担となっていました。
当社が実施したアンケート調査(参照:「ペーパーロジック、雇用契約に関するアンケート調査を実施」:https://paperlogic.co.jp/news_20191001/)によれば、東京所在の企業の約2割が雇用関連契約書面を完全電子化しており、今後スマホ対応などを含め、雇用関連契約の電子化が広く一般企業へ浸透する可能性があります。
3.まとめ
~2020年以降、法規制緩和を受けてさらに電子契約の普及が進む~
今年5月に可決されたデジタルファースト法によって、ようやく国として本格的な電子化・ペーパーレス化への第一歩を歩みはじめました。法規制緩和による国の後押しがある分野から、今後さまざまな分野でペーパーレス化が進んでいくでしょう。
特に電子契約の分野では、印紙費用の削減はもちろん「契約手続きの簡素化」を目的としてあらゆる業界において電子契約の導入が進みそうです。