【請求書受領する大企業、インボイス制度への対応は?】
インボイス制度の詳細を理解している担当者はわずか26.0%
半数以上が、新しい取引先等へ「電子請求書発行」依頼を実施
〜受領請求書の電子対紙の割合、「紙が5割以上」が約半数〜
■調査概要
調査概要:インボイス制度への対応に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年4月22日〜同年4月25日
有効回答:従業員1000名以上の大企業に勤めている経理担当者100名
■2023年10月から始まるインボイス制度、詳細まで理解できている担当者はわずか26.0%
「Q1.2023年10月からインボイス制度が施行されますが、インボイス制度の内容についての理解度で最も当てはまるものを教えてください。」(n=100)と質問したところ、「詳細まで理解している」が26.0%、「概略まで理解している」が30.0%という回答となりました。
・詳細まで理解している:26.0%
・概略まで理解している:30.0%
・名称だけ知っている:22.0%
・全く知らない:22.0%
■受領請求書の電子対紙の割合、51.0%が「電子」が5割以上と回答
「Q2.取引先から受領する請求書について、「紙」と「電子」の割合を教えてください。概算で構いません。」(n=100)と質問したところ、「8~9割電子・1~2割紙」が21.0%、「6~7割電子・3~4割紙」が15.0%という回答となりました。
・全て電子:4.0%
・8~9割電子・1~2割紙:21.0%
・6~7割電子・3~4割紙:15.0%
・5割電子・5割紙:11.0%
・3~4割電子・6~7割紙:9.0%
・1~2割電子・8~9割紙:15.0%
・全て紙:12.0%
・わからない:13.0%
■55.5%が、新しい取引先等へ「電子請求書発行」の依頼を実施
Q2で「全て電子」「わからない」以外を選択した方に、「Q3.新しい取引先等から送付される請求書に関して、電子発行の依頼を行っていますか。」(n=83)と質問したところ、「行っている」が55.5%、「行っていない」が34.9%という回答となりました。
・行っている:55.5%
・行っていない:34.9%
・わからない/答えられない:9.6%
■79.5%の経理担当者から、紙の請求書を電子に変更してほしいとの声
Q2で「全て電子」「わからない」以外を選択した方に、「Q4.紙の請求書を電子にして欲しいと思いますか。」(n=83)と質問したところ、「非常に思う」が42.2%、「やや思う」が37.3%という回答となりました。
・非常に思う:42.2%
・やや思う:37.3%
・あまり思わない:14.5%
・全く思わない:6.0%
■電子請求書を希望する理由、「テレワークで処理したいため」や「請求書の紛失防止」がそれぞれ43.9%で最多
Q4で「非常に思う・やや思う」と回答した方に、「Q5.請求書を電子にして欲しいと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=66)と質問したところ、「テレワークを行っており、請求書処理のために出社する必要があるから」が43.9%、「請求書が紛失してしまうことがあるから」が43.9%、「紙の処理の方が社内処理上工数がかかるから」が37.9%という回答となりました。
・テレワークを行っており、請求書処理のために出社する必要があるから:43.9%
・請求書が紛失してしまうことがあるから:43.9%
・紙の処理の方が社内処理上工数がかかるから:37.9%
・請求書を電子保存する手間がかかるから:34.8%
・請求書が届かないことがあるから:27.3%
・その他:0.0%
■大企業の3割以上が、インボイス制度がきっかけで「請求書の電子化システム」を導入予定
「Q6.あなたの会社では、インボイス制度をきっかけとして請求書の電子化システムの導入を検討していますか。」(n=100)と質問したところ、「すでに導入済」が23.0%、「インボイス制度をきっかけとして導入予定」が31.0%という回答となりました。
・すでに導入済:23.0%
・インボイス制度をきっかけとして導入予定:31.0%
・インボイス制度関係なく導入予定:10.0%
・導入予定はない:8.0%
・わからない/答えられない:28.0%
■大企業の73.0%が、月次決算を実施
「Q7.あなたの会社では、月次決算が行われていますか。」(n=100)と質問したところ、「行われている」が73.0%、「行われていない」が15.0%という回答となりました。
・行われている:73.0%
・行われていない:15.0%
・わからない:12.0%
■請求書の電子化システムを導入する理由として、約7割が「月次決算が確定するまでのリードタイム短縮」と回答
Q7で「行われている」かつQ6で「すでに導入済」「インボイス制度をきっかけとして導入予定」「インボイス制度関係なく導入予定」と回答した方に、「Q8.月次決算が確定するまでのリードタイム短縮は、請求書の電子化システムを導入する理由になりましたか。」(n=55)と質問したところ、「大きな導入理由となった」が32.7%、「導入理由の一つだった」が36.4%という回答となりました。
・大きな導入理由となった:32.7%
・導入理由の一つだった:36.4%
・特に導入する理由になっていない:30.9%
・わからない:0.0%
■自社の請求書受領締日、「当月末まで」が32.9%、「当月25日まで」が20.5%
Q7で「行われている」と回答した方に、「Q9.あなたの会社での請求書受領締日を教えてください。」(n=73)と質問したところ、「当月末まで」が32.9%、「当月25日まで」が20.5%という回答となりました。
・当月20日まで:6.9%
・当月25日まで:20.5%
・当月末まで:32.9%
・翌月2日まで:12.3%
・翌月5日まで:8.2%
・翌月10日まで:2.8%
・その他:8.2%
・わからない:8.2%
■部署間での請求書共有・転送は、64.7%が「全て電子」と回答
Q7で「行われている」かつQ6で「すでに導入済」と回答した方に、「Q10.あなたの会社では、部署間での請求書共有・転送(例:営業部から経理部への請求書共有など)は、電子になっていますか。」(n=17)と質問したところ、「全て電子」が64.7%、「一部電子・一部紙」が35.3%という回答となりました。
・全て電子:64.7%
・一部電子・一部紙:35.3%
・全て紙:0.0%
・わからない:0.0%
■社内の請求書処理、「こちらからの電子請求書の受け取り登録の依頼」や「さらなる電子化の推進」などの動きあり
「Q11.あなたの会社では、請求書処理に関するオペレーションについて、どのような動きがありますか。」(n=100)と質問したところ、「こちらからの電子請求書の受け取り登録の依頼」や「さらなる電子化の推進」など64の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・53歳:こちらからの電子請求書の受け取り登録の依頼
・50歳:さらなる電子化の推進
・57歳:課税業者、非課税業種の分類登録
・62歳:システム導入稟議中
・58歳:一部システムの改修を行った。また今後も見直しを予定している。
・54歳:紙の廃止
・51歳:請求書処理のオンライン化、ウェブ化
・51歳:全社基幹システム導入に合わせてインボイス制度対応中
■まとめ
今回は、従業員1000名以上の大企業に勤めている経理担当者100名を対象に、インボイス制度への対応に関する実態調査を行いました。
まず、2023年10月から始まるインボイス制度について、詳細まで理解できている大企業の経理担当者はわずか26.0%だと判明しました。尚、受領請求書の電子対紙の割合について、「電子」が5割以上と回答する大企業は51.0%にとどまり、大企業経理担当者の55.5%が、新しい取引先等へ「電子請求書発行」の依頼を実施していることが分かりました。
また、79.5%の経理担当者から、紙の請求書を電子に変更してほしいとの声が挙がりました。電子請求書を希望する理由を伺うと、「テレワークを行っており、請求書処理のために出社する必要があるから」や、「請求書が紛失してしまうことがあるから」がそれぞれ43.9%で最多でした。
大企業における請求書の電子化システムの導入の状況は、64.0%が導入を検討及び導入済みで、そのうち3割以上は、インボイス制度がきっかけで「請求書の電子化システム」を導入予定であることが明らかに。また、大企業の73.0%が月次決算を実施しており、請求書の電子化システムを導入する理由として、約7割が「月次決算が確定するまでのリードタイム短縮」と回答しました。
次に、大企業における請求書の扱いについて伺ったところ、請求書受領締日は、「当月末まで」が32.9%で最多、次いで「当月25日まで」が20.5%、また、請求書の電子化システムの導入済み企業における部署間での請求書共有・転送は、64.7%が「全て電子」という結果になりました。最後に、自社での請求書処理に関するオペレーションについて、「こちらからの電子請求書の受け取り登録の依頼」や「さらなる電子化の推進」などの社内の電子化に加え、取引先への電子化対応に関する動きがあることが分かりました。
今回の調査では、2023年10月から始まるインボイス制度について大企業の経理担当者からの認知度は低いものの、世間のDX推進の影響か「請求書の電子化システム」の導入が進んでいることが判明しました。コロナ禍におけるテレワーク環境において、書類のデータ化がカギとなりましたが、経理担当者としても紙の請求書から電子に変更を希望する声が多数挙がりました。
請求書処理を電子化することで、決算や日次業務の効率化が図れることが多くの企業において認知され始めていることから、電子化システムを導入する企業が増えました。更に、インボイス制度に対応するためにも2022年度中に電子化システムを導入する企業は急激に増えることが予想されます。
企業の税制対策としてインボイス制度への準備は必須と言えますが、大企業においては多数の取引先への対応や業者登録作業などを考えると、電子化システムによる対策が最適と言えるのではないでしょうか。